大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和63年(わ)1278号 判決

本店所在地

大阪市東区南本町二丁目三〇番地デビスビル一階

株式会社シービ企画

(右代表者代表取締役 月城明翼こと孫明翼)

本籍

韓国慶尚北道永川郡花山面亀湖洞七八九番地

住居

大阪市旭区新森四丁目八番二〇号

会社役員

月城明翼こと孫明翼

昭和二三年一月五日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官藤村輝子出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社シービ企画を罰金一五〇〇万円に、被告人孫明翼を懲役一年に処する。

被告人孫明翼に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社シービ企画(以下、被告会社という。)は、大阪市東区南本町二丁目三〇番地デビスビル一階に本店を置き、衣料製品の卸販売等を目的とする資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人孫明翼(以下、被告人という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て

第一  被告会社の昭和五八年七月五日から同五九年六月三〇日までの事業年度における所得金額が二六八一万九九四三円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、売上の一部を除外するなどの行為によりその所得を秘匿した上、同五九年八月三〇日大阪市東区大手前之町所在の所轄東税務署において、同税務署長に対し、その欠損金額が二九二万〇四五五円で納付すべき法人税額はない旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一〇五九万九九〇〇円と同額(別紙(四)税額計算書参照)を免れ

第二  被告会社の昭和五九年七月一日から同六〇年六月三〇日までの事業年度における所得金額が八一二四万五五五九円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、前同様の行為によりその所得の一部を秘匿した上、同六〇年八月二九日前記東税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一九七四万〇六三八円でこれに対する法人税額が七一三万五四〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額三三七四万二五〇〇円と右申告税額との差額二六六〇万七一〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ

第三  被告会社の同六〇年七月一日から同六一年六月三〇日までの事業年度において、その所得金額が一億三三八九万九五八五円(別紙(三)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、前同様の行為によりその所得の一部を秘匿した上、同六一年八月三〇日前記東税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が八三五九万二九四三円でこれに対する法人税額が三四五八万三九〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額五六三六万二六〇〇円と右申告税額との差額二一七七万八七〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告会社代表者兼被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書三通(証拠等関係カード検察官請求分番号74ないし76)

一  被告人に対する収税官吏の質問てん末書一四通(前記番号60ないし73)

一  脇坂知加子(前記番号27)及び泉本千恵子(前記番号30)の検察官に対する供述調書各一通

一  脇坂知加子(前記番号26)、泉本千恵子(前記番号28、29)、新谷務(前記番号31)、孫義男(前記番号32、33)、孫桂翼(前記番号34、36)、川原吉雄(前記番号37)及び吉川定雄(前記番号38)に対する収税官吏の各質問てん末書

一  吉村美由紀(前記番号41)、藤田正幸(前記番号42)、斉藤英男(前記番号43)、広岡奈々(前記番号44)、松下光一(前記番号45)及び新谷務(前記番号56)作成の供述書各一通

一  収税官吏作成の査察官調査書一〇通(前記番号13ないし22)

一  被告会社代表者作成の証明書(前記番号7)

一  法人登記簿謄本(前記番号57)

判示第一及び第二の各事実につき

一  収税官吏作成の査察官調査書(前記番号24)

判示第一の事実につき

一  東税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のものの)(前記番号4)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号1)

一  収税官吏作成の査察官調査書二通(前記番号8、10)

判示第二及び第三の各事実につき

一  収税官吏作成の査察官調査書二通(前記番号11、25)

一  森永章(前記番号46)、野口真一郎(前記番号47)、森広之(前記番号48)及び宮地珠美(前記番号49)作成の供述書各一通

判示第二の事実につき

一  東税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの)(前記番号5)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号2)

判示第三の事実につき

一  東税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの(前記番号6)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号3)

一  収税官吏作成の査察官調査書三通(前記番号9、12、23)

一  孫桂翼(前記番号35)及び辻田浩和(前記番号39)に対する収税官吏の質問てん末書各一通

一  馬場一男(前記番号40)、脇坂知加子(前記番号50)、長谷敏美(前記番号51)、稲垣伸一(前記番号52)、大辻登(前記番号53)、横井智子(前記番号54)及び三善政則(前記番号55)作成の供述書各一通

(法令の適用)

一  罰条

1  被告会社

判示各所為につき法人税法一五九条一項、一六四条一項

2  被告人

判示各所為につき法人税法一五九条一項

一  刑種の選択

被告人につきいずれも懲役刑選択

一  併合罪の処理

1  被告会社

刑法四五条前段、四八条二項

2  被告人

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に加重)

一  刑の執行猶予

被告人につき刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松本信弘)

別紙(一) 修正損益計算書

株式会社シービ企画

昭和58年7月5日~同59年6月30日

〈省略〉

別紙(二)の1 修正損益計算書

株式会社シービ企画

昭和59年7月1日~同60年6月30日

〈省略〉

別紙(三)の1 修正損益計算書

株式会社シービ企画

昭和60年7月1日~同61年6月30日

〈省略〉

別紙(四) 脱税額計算書

シービ企画

〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例